米カリフォルニア州マデラ郡の非営利病院、マデラ・コミュニティ病院(Madera Community Hospital)は、2025年5月29日にコンピュータネットワーク上の不審な活動を検知した。病院は直ちに外部弁護士および外部サイバーセキュリティ専門家によるフォレンジック調査を開始し、不正な第三者が2025年5月28日から2日間にわたりネットワークにアクセスしていたことが判明した。その後の調査で、この事案がランサムウェア攻撃であり、一部ファイルの暗号化と持ち出しの双方を伴っていたことが確認された。
病院がマサチューセッツ州司法長官府に提出した公式届出書簡によれば、責任を負ったのはランサムウェアグループ「Qilin(キリン)」であった。病院はQilinとの交渉を通じて、影響を受けたファイルの一覧と復号鍵を無償で入手したとしている。書簡は「Qilinは、我々が病院であると知った後、これらの詳細を無償で提供した。同グループは患者に害を与えることを望んでいないと述べた」と記述している。病院はQilinが一覧上のファイルの一部を実際に持ち出したことを確認し、残りのファイルについても持ち出された可能性が高いとみているが、記録時点でデータが公開・共有された証拠は確認されていないとしている。
復号鍵の受領後、病院はベンダーと協力して影響を受けたファイルすべての復号とデータレビュー用の整理を行い、この作業は2025年10月に完了した。整理されたファイルはデータマイニングベンダーによる内容分析にかけられ、2026年4月7日にレポートが提出された。外部弁護士がこの分析結果を基に通知義務を判断し、対象者の連絡先情報の特定・検証作業を経て、2026年7月14日にマサチューセッツ州・カリフォルニア州をはじめとする各州司法長官への届出を行い、翌7月15日から影響を受ける個人への書面通知および代替通知を開始した。攻撃発生から通知開始まで約14ヶ月を要したことになる。
影響を受けたファイルには氏名・連絡先情報・ログイン認証情報・金融口座情報・医療情報・健康保険情報・政府発行身分証明書番号が含まれる。政府発行身分証明書番号の影響を受けた個人には24ヶ月間の無償クレジットモニタリングサービスが提供された。病院は法執行機関にも通報済みで、通報によって通知が遅延することはなかったとしている。再発防止策として、重要システムへの多要素認証導入、監視・脅威検知機能の強化、ネットワークセキュリティ管理の強化、システム全体のパッチ適用、職員向けフィッシング対策研修の強化などを実施したと公表している。