iRhythm Technologies(アイリズム・テクノロジーズ、NASDAQ: IRTC)は、米国サンフランシスコを本拠地とする心臓モニタリング機器メーカーである。患者が最長14日間装着する使い捨て型心電図(ECG)モニタリングパッチ「Zio」シリーズを製造・提供するほか、計測データの解析・診断レポート作成サービスを医師・医療機関に提供しており、患者の氏名・生年月日・診断情報・医療保険情報を含む保護医療情報(PHI)を処理・保管している。
2026年6月8日、同社はサードパーティが管理するビジネスアプリケーションへの不正アクセスを検知した。調査の結果、不正アクセスはソーシャルエンジニアリング(社会的操作)の手法によって実行されたことが確認された。翌6月9日、脅威アクターが同社に連絡を取り、独自技術情報・患者PHI・その他の個人情報を含むデータを窃取したと主張し、情報の公開阻止と引き換えに支払いを要求した。
2026年6月10日、同社は本件が保持するデータ量の観点から重大(material)なサイバーセキュリティインシデントに該当すると判断し、SEC(米国証券取引委員会)に対して規則8-Kに基づく開示を行った。同社は「臨床・医療機器システム・患者安全・製造・流通業務・財務報告システムへの影響は確認されておらず、金融口座情報や支払いカード情報は保持していない」と説明した。影響を受けた個人の数および漏洩データの種別は、調査継続中であり本件記録時点では未公表。
本件は2026年6月11日に開示された製薬大手Novo Nordisk社のデータ侵害(臨床試験データ等が窃取)の翌日に判明したこともあり、「医療・製薬セクターを標的とした相次ぐサイバー恐喝キャンペーン」として複数のセキュリティメディアが取り上げた。