West Pharmaceutical Services, Inc.(本社: 米ペンシルベニア州)は、注射剤用パッケージング部材および薬物送達システムを製造する世界大手企業であり、世界の注射剤医薬品供給網の広範囲に部材を供給している。
2026年5月4日、同社は侵入を検知し、被害拡大を防ぐため世界の対象システムをオンプレミス環境から即座にオフライン化する初動対応を実施した。あわせて法執行機関へ通報し、Palo Alto Networks傘下のインシデント対応チーム「Unit 42」等の外部専門家と連携して調査・封じ込め・復旧に着手した。
5月7日、同社は外部の攻撃者がデータを持ち出した上でシステムを暗号化する「重大なサイバーセキュリティインシデント」が発生したと判断し、米証券取引委員会(SEC)へForm 8-Kを提出して開示した。世界の製造・出荷・受入業務が一時的に停止し、特にドイツ・エシュヴァイラーの主力工場を含む複数拠点で生産活動に影響が及んだ。
その後、5月15日には主要生産拠点(高可視性製品=HVP施設)の稼働が完全に復旧し出荷・受入業務や製造量の増加を発表、5月20日にはForm 8-K/Aにて基幹エンタープライズシステムの復旧および世界の製造・供給・営業拠点での完全な業務再開を公表した。同社はフォレンジック調査の結果、電子メールシステムの侵害の証拠はなく、顧客・仕入先・取引先・従業員を標的とした悪意ある活動の証拠も現時点で確認されていないとしている。ランサムウェアグループによる犯行声明は確認されておらず、攻撃者の身元は公表されていない。同社は本件が2026年第2四半期および通期の業績見通しに重大な影響を及ぼす可能性は低いとの見解を示している。