ドイツのザールラント州ヴァーデン市に本社を置くユニメッド(Unimed Abrechnungsservice GmbH)は、私費診療(自費・選択的付加給付)にかかる診療費の請求代行を専門とする事業者で、ドイツ国内の大学病院の約95%および大規模病院の約半数の請求業務を受託している。2026年4月中旬、同社のシステムがサイバー攻撃を受け、委託先医療機関の患者データが窃取された。
フライブルク大学病院(Universitätsklinikum Freiburg)は2026年4月16日にインシデントの可能性を検知し、直ちにザールラント州データ保護当局および連邦情報セキュリティ庁(BSI)へ報告するとともに、ユニメッドへのすべての患者データ送信を停止した。公表まで約5週間を要し、2026年5月21日にフライブルク大学病院を皮切りに各病院が公式プレスリリースを発表し、患者への個別通知を開始した。
攻撃者はデータ窃取後にシステムの暗号化も試みたとされるが、暗号化は阻止されたと報告されている。漏洩データには氏名・生年月日・住所などの基本情報が含まれ、一部(フライブルクで約900件)には診療請求情報・病名・治療内容・銀行口座情報も含まれる。患者の診療業務および各病院の臨床システム・情報インフラには影響がなかったと各病院は説明している。
被害を確認した主な大学病院と患者数:フライブルク大学病院(約54,000名)、ケルン大学病院(約30,000名)、ハイデルベルク大学病院(約11,000名)、マンハイム大学医療センター(約3,000名)、ウルム大学病院(約1,600名)、ザールラント大学病院。判明分の合計は12万人超に上る。ユニメッドはザールラント州刑事局(LKA)へ届出を行い、外部ITフォレンジクス企業を起用して原因究明を進めている。