バーツ・ヘルス NHS トラスト(Barts Health NHS Trust)は、ロイヤル・ロンドン病院・セント・バーソロミュー病院・ウィップス・クロス病院・ニューアム大学病院など複数の病院を運営する、ヨーロッパ最大規模の NHS トラストの一つである。
2025年7月31日、ランサムウェアグループ Cl0p が Oracle E-Business Suite(EBS)のゼロデイ脆弱性(CVE-2025-61882)を世界規模で悪用するキャンペーンを展開し、バーツ・ヘルスの財務・請求システムから数年分の請求書ファイルを窃取した。盗まれたデータには、各病院で自費診療費等の支払い義務を負った患者および元職員の氏名・住所等の個人情報が含まれる。電子患者記録(EPR)・臨床システム・基幹 IT インフラへの影響はなく、診療の継続は維持された。
2025年11月、Cl0p がダークウェブのリークサイトに窃取データを公開したことでトラストが被害を把握した。2025年12月5日に公式声明を公表し、同時にデータの公開・使用・共有を一切禁じる高等法院の差し止め命令(High Court order)を取得した。NHS イングランド・国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)・ロンドン警視庁・情報コミッショナー事務局(ICO)に通報し、連携して対応が進められた。また、同トラストが2024年4月から会計サービスを提供していたバーキング・ヘイバリング・リドブリッジ大学病院 NHS トラスト(BHRUT)の関連データも一部含まれていたことが明らかになった。