HealthAlliance Hospital(ハドソン・バレー、ニューヨーク州キングストン)は、Margaretville Hospital、Mountainside Residential Care Centerとともにウェストチェスター・メディカルセンター・ヘルスネットワーク(WMCHealth)傘下でハドソン・バレー地域の医療を担う3施設である。
2023年8月18日、権限のない第三者がベンダーが提供するウェブアプリケーションの脆弱性を突いて、法人のITネットワークへの侵入を開始した。当該ベンダーは同年7月にこの脆弱性に関するセキュリティ注意喚起を発出していたが、HealthAlliance側は技術的な問題を理由に直ちにパッチを適用できず、脆弱な状態のままシステムの稼働を継続していたことが、後のニューヨーク州司法長官の調査で判明した。不正アクセスは10月13日まで約2か月にわたり継続した。
10月12日、法人はITシステムの一部運用に支障をきたすセキュリティインシデントを認知し、10月16日にはサイバーセキュリティ上の脅威とITシステム障害の可能性について公表した。10月14日から救急車の受け入れ転送が始まり、10月20日には3施設で連携するITシステムをネットワーク復旧のため予防的に全面停止、救急車の他院への転送や入院患者の退院・転院対応が続いた。翌10月21日にシステムが復旧し、全施設で通常の患者受け入れを再開した。
同年12月11日、法人は影響を受けた患者への郵送通知を開始し、氏名・住所・生年月日・社会保障番号・診断内容・検査結果・投薬情報・保険情報・診療医名・診療日・金融情報が流出した可能性があるとした。
2024年12月9日、ニューヨーク州司法長官レティーシャ・ジェームズは調査結果を公表し、患者242,641人分の個人情報・医療情報が本件により流出したと認定した。HealthAllianceは計140万ドルの罰金(財務状況を考慮し85万ドルを猶予、実際の支払いは55万ドル)を科されるとともに、通知を受けた脆弱性を72時間以内にパッチ適用または無害化する脆弱性管理ポリシーの導入、データの棚卸しと暗号化を含む包括的な情報セキュリティプログラムの整備、ネットワーク監視の強化などのセキュリティ対策強化に合意した。ベンダー由来の脆弱性放置が医療機関の大規模インシデントに直結した事例として、また司法長官による事後是正命令の先例としても注目された。